こんにちは^^相変わらず穏やかな晴れ間が続いているここ鹿嶋地方です。この陽気で空気がとても乾燥していますので、風邪など引かないように気をつけたいものです。
さて例の厄介者、そろそろ飛び始めたのかな!?当店にもその厄介者による、不快症状を訴えてご来店なさるお客様が増えてきています。
その厄介者とは『杉花粉』です。自然の原理から言えば、至極自然な花粉の飛散なので、杉からしてみれば「何が悪いの!?」と言われそうですが、花粉症で悩んでいる方からしてみれば、これほど憎いヤツはいないと言うことになりますよね。
その花粉症ですが、症状緩和に様々なものが溢れていますね。その中で漢方の「小青竜湯」という薬があります。当店でも非常によく出る漢方薬の一つですが、その小青竜湯、最近CMで盛んに「花粉症や鼻炎に!」などと宣伝されているのが気になります。果たしてその小青竜湯が本当に花粉症に有効なのかどうか書いていきたいと思います。
小青竜湯という漢方薬はどのような薬かと言いますと、麻黄という生薬で体表部の血管を収縮させ、炎症を押さえ込むという事が主になります。更に乾姜、桂皮、細辛で体を暖め、半夏、麻黄、乾姜、五味子が体表部、肺の水分を乾かすような働きをします。総評すると、体表部、肺、胃の炎症を抑えると共に、体表部を暖め、乾燥させるといった効果があります。
以上の効果を見ると「効きそうだな」という感じがしますが、この漢方薬は体表部、粘膜にしか作用しませんので、体内に花粉症になる原因がある場合で、慢性的な空咳やのぼせ火照り、心臓に不安がある、胃炎、皮膚炎、緑内障、目が乾く、胸焼けしやすい、鼻が慢性的に赤い、舌がしみるなど、陰虚といって体全体が乾燥傾向にあるような方や、体(肝や胃腸)に熱がこもっているような方は、体の乾燥や熱症状を助長させますので、あまりこの漢方薬は合っていないようです。
適応となるのは、体内にあまり原因が無いと思われる(見極めが難しいですが・・・)、比較的若い方で、「冷え傾向で鼻水や痰などがさらっとしていて、分泌物の量の多い花粉症」が適応となり、その他舌や顔色、体つき、飲食の傾向、二便など様々なものを考慮した上での処方とします。
総評しますと、目や鼻などの粘膜だけの不快症状には効果があります。しかし先ほど書いた体内が乾燥傾向にある方や、過剰な熱の存在が有る場合は、慎重に用いなければなりません。
また、体の中に花粉症になる原因が有る場合には、小青竜湯だけでは適応になりません。特に考慮すべきは、胃腸や肝に過剰な熱がこもっている場合や炎症が有る場合です。この場合は、小青竜湯にていくら粘膜の症状だけ取り除こうとしても、なかなか上手く行かないばかりか、不快症状を悪化させる場合が多いようです。
特に鼻という器官は「肝」と結びつきが高く、一例として大酒飲みの方などが「鼻の頭を赤くしている」のをよく見かけますが、これはアルコールによる過剰な肝の熱(炎症)を発散しようとして、鼻に炎症が起きているので、鼻が赤くなっているのです(肝に炎症があるからといって、皆鼻が赤くなるとは限らない)。 なのでこの場合は、肝にある過剰な熱(炎症)を抑える事が、花粉症の症状を緩和させる一番の方法となるのです。事実当店では、この「肝」の熱(炎症)を抑えることで、花粉症の不快症状を緩和させているという方法をとっているお客様が一番多いです。
花粉症という一つの症状取っても、様々な治療法があります。「花粉症には小青竜湯!」などと一括りにするのは、個々の体にとっては、あまり良いことばかりではないようです。